2013年4月21日

BL作品における「関係性」

「 男の絆」の筆者がボーイズ・ラブについて書くチャプターの後半で、私が一番面白いと思った点は、や おい漫画のフォーカスはあるキャラクターの魅力というより同性愛者のカップルの関係性だということでした。以 前はこれについて考えたことがありませんでしたが、なるほどこの可能性があると思い始めました。筆者が述べた通り、カ バーのイラストはよく二人のキャラクターで、pixivの経験からペアリングのラベルがとても大切だと分かるようになったからです。
 
でも、この関係性は女性が入れない「男の絆」と同じなんでしょうか。どうしてこの質問をしたかを説明するため、下の例を挙げましょう。授 業のためにpixivBL作品を探しながら小説を読んでみた時、読んだ作品はほとんど「私」という語り手の視点から書かれていました。この傾向は偶然かもしれないと思いますが、このテクニックは女性の作家が「 男の絆」に参加する方法ではないかと思いました。そして、この作品の読者は想像を通してあるキャラクターの立場に入れるので、「私」と いう語り手がない漫画にも当てはまるかもしれません。
 
そして、友達というより同性愛者の間のカップルですから、一般的で美化された「男の絆」と違う「関係性」になると思います。答 えられなかった質問がまだ残っているので、教科書の筆者がこの点をもう少し分析したらよかったと思います。

4 件のコメント:

  1. Seさんから:
    私もトリーさんと同じような疑問を持ちました。「男の絆」を鑑賞する快楽、というのは理解できる一方で、クラスで読んだようないわゆるBLは、まったく別の世界のもののように感じます。例えば、Lと月は「男の絆」で結ばれていて、読者はそれを見たいのかというときっとそうではありませんよね。さらには、筆者が「到達点」としている「ここはグリーンウッド」も、あまり男の絆を強く描いているようには思いませんでした。個人的にはやはりスラムダンクやROOKIESなどのスポーツ漫画が、「男の絆を鑑賞する」という意味では最もふさわしいのではないかと思います。

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  2. Shi先生から:
    BLのカップルの関係が、「男の絆」の関係と違うという意見に賛成です。実際の同性愛者のカップルの関係も「男の絆」とは違うのだと思いますが、BLに描かれているような関係なのかは分かりません。ただBL愛読者の一人として、BLはやはりとても「安心」して読めると思います。同人誌はファンが自分の好きなキャラを使って妄想をしているわけですが、私は月とLのああいう関係に「萌えます」ね。オリジナルの「Death Note」を見ながら、あの二人の関係にそういう要素を感じた(感じたかった)からだと思います。

    世の中に「男」と「女」がいれば、ペアは「男X女」「男X男」「女X女」の3種類があるのだと誰かが書いていましたが、その考え方はとても面白いと思いました。子孫を残すという意味では「男X女」のペアしかありませんが、それ以外の組み合わせもペアとしてあってもいいと思います。

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  3. Suさんから:
    コミックに描かれるBLの関係は、とても美化されていると思います。

    女性読者がそのようなBLコミックのターゲットになっているからでしょうか。

    また、コミックの筆者が女性か男性か、ターゲットとする読者層はどれかによって、「男の絆」の描き方が違うように思います。「ここはグリーンウッド」は、筆者が女性で、少女漫画雑誌に連載されていたものですし、「スラムダンク」や「ROOKIES」は、筆者が男性で、少年漫画雑誌に連載されていたものですね。

    雑誌連載のコミックの場合は特に、読者の需要によって描かれる内容が変化するといいますから、「男の絆」の描かれかたの度合いも連載時の読者の「こんなのが読みたい!」という希望が反映されているのではないでしょうか。

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  4. Yaさんから:
    BLのカップルの関係は「男の絆」の関係と違うことに賛成ですが、この二つの関係にも関連があると思います。「男の絆」は大体社会的な論理で、BLはフィクションなので、ジャンルによって扱うと、BLは、「男の絆」で描かれている社会での男女関係/男性の間の関係に対しての評論的な反応かもしれません。例えば、男性社会の中で足りないと感じる男性どうしの感受性をふけて書いたり、愛情を体で表すことの社会的な不足などと色々理由があると思います。

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